自動指数付けの基本

電子後方散乱(EBSD)システムを一度キャリブレーションすると、回折パターンの自動指数付けや結晶方位の計算が可能です。これは以下のステップを使用して通常実行されます。

この処理はすべて自動で実行され、最新のコンピュータにインストールされた商用システムにおいては、数ミリ秒単位で処理できます。

ハフ変換の代わりにパターンシミュレーションを用いる手法など、最新の指数付け技術に関する詳細は、こちらをご覧ください。

ハフ変換

Kikuchi バンドの位置を特定する ハフ変換は、EBSD カメラからの画像を、回折パターンのポイント (x, y) と Hough 空間の座標 (ρ, θ) の間の次の関係を使用して、Hough 空間で表現します。

ρ = x cosθ + y sinθ

画像空間 (x, y) における直線は ρ(この直線から原点までの垂直距離)および θ(x 軸との角度)によって特徴付けられ、画像のように、Hough 空間では単一のポイント (ρ, θ) で表すことができます。

x-y空間からρ-θ空間への変換を示す、Hough 変換の図解
ハフ変換は、ハフ空間において線を点に変換します

ハフ空間で Kikuchi バンドは明るい領域またはピークとして現れるため、検出されやすく、バンドの原位置の計算に使用されます。以下の一連の画像でご覧いただけます。ハフ変換は非常に高速で、ノイズの多い画像にも対応できるため、EBSD パターン(EBSP)の自動解析に理想的であることは重要なポイントです。

シリコンサンプルの EBSD パターンの例。
8つの最高強度のピークをマークした、Hough 空間の Si EBSD パターンの表示。
8つの最高強度のバンドをマークした Si サンプルの EBSD パターン。
最終指数付けソリューションを示すオーバーレイ付きの Si EBSD パターンの例。
ハフ変換を使用した EBSD パターンの指数付け。左から右へ:20 keV のビームエネルギーでシリコンから収集した EBSP の例。最高強度のピークの同定を示す ハフ変換画像。EBSP の対応する Kikuchi バンド(同じ色を使用している)。指数付け済回折パターン(青い十字はパターン中心の位置を示す)。

このプロセスは、市販の EBSD システムで完全に自動化されています。したがって、電子ビームをサンプル表面に規則的な格子状の点(通常は直交または六角形)で走査し、各点で EBSP を収集し、指数付けします。結晶相と方位情報はポイントごとに保存され、これによりサンプル表面の微細構造を結晶相、方位、結晶粒、粒界のマップとして再構築できます(EBSD データの様々な表示方法については、こちらをご覧ください)。これらのデータをサンプルプロパティ評価に利用する方法に関する詳細は、こちらのアプリケーションセクションをご覧ください。